四川料理の歴史
中国大陸の西南部、揚子江(ヨウスコウ)上流に位置する四川省とその周辺で発達してきたのが四川料理です。
四川省は中国有数の穀倉地帯で、昔から「天府の国=天が与えた豊かな国」と呼ばれています。
また、現在の省都である成都(セイト)は1000年ほどの昔から都として栄えていた伝統ある都市です。
四川料理は当時からすでに有名だったと言われています。
四川料理といえば唐辛子を使ったものが多いのも特徴の1つです。唐辛子が中国に伝わったのは17世紀、明の末期と言われています。四川は盆地で夏は温度や湿度が非常に高く、保存が効くように唐辛子や香辛料を使った料理が発達しやすかったのだろうと推測されています。
暑いときに辛いものを食べて汗をかくのは健康にも良く、古い伝統の上に新しいものを取り入れて、今の四川料理が完成しました。
四川料理の特徴
四川料理の味付けの特徴は、麻辣=マーラーと呼ばれる辛さ。
麻は痺れるような花椒(ホワジャオ)と呼ばれる中国山椒の味、辣は唐辛子の辛い味のことを言います。
豆板醤(トウバンジャン)を始め、椒麻醤(ジャオマージャン)や魚醤などの調味料を使い、複雑な辛さを生みだしています。
味付けに長けた料理人だと、一品に30~40種類の香辛料を使う方もいらっしゃいます。
食材は豚肉、牛肉、鶏、川魚、野菜などが中心で、乾燥食品も多く使われます。
四川料理は2,000種類を超えると言われるほどに種類が多いのも特徴。
代表的な四川料理
麻婆豆腐(マーボードウフ)、坦々麺(タンタンメン)、棒棒鶏(バンバンジー)、回鍋肉(ホイコーロー)など、日本でも有名な料理が多いです。
麻辣火鍋(マァラァフオグオ)という激辛鍋料理も、四川ならではです。
花椒(ホワジャオ:中国山椒)や唐辛子などの香辛料をベースにしたスープに、肉や野菜、魚などを入れて煮込み、ゴマ油につけて食べる鍋料理のことです。
紅油抄手(ホァンユーチャオショウ)は、茹でたワンタンに香辛料を加えたラー油を絡めて食べる中国では有名な軽食です。
酸菜魚(スァンツァイユイ)という、すっぱい野菜の漬け物で魚を煮込んだ料理もございます。
四川はザーサイなどの漬け物の産地としても有名です。